はじめに
諸事情により、いくつか本を読まないといけなくなりました。
せっかくなので書籍紹介しようと思います。
動機はネガティブですが、いいと思った本をちゃんと紹介します!
椿進さんの「超加速経済アフリカ」という本を紹介します。
アフリカの事実を問題形式で問いかけしつつ、日本人の知らないアフリカの現状を深堀していくような内容です。
Leapfrog
タイトルにある Leapfrog とは、馬跳び(蛙飛びじゃないの!?)という意味なのです。
ここでの言葉の使い方は、テクノロジーの発展において、いくつか段階をすっ飛ばして最先端へたどり着いてしまう、というイメージです。
例えば、決済手段については、現金受け渡しがベースラインにあり、小切手、手形、クレジットカード、電子マネー、バーコード決済など、便利な手段がどんどん出現しています。
しかしながら現金大好き日本人、現金文化が経済に深く根付いており、キャッシュレス支払の利用率は他国に後れを取っているようです。
一方、銀行口座の普及率も多くないアフリカでは、急速にキャッシュレスが浸透しているようです。
現金の安全性が相対的に低いことによって、特にケニアにおいて M-PESA というキャッシュレスの仕組みが普及していったようです。
現在の生活での不便が大きいからこそ、最先端技術への需要が強くなり、技術が突然進化する。
アフリカでは、キャッシュレスに限らず Leapfrog 現象がいくつも起きているようです。
書籍の目次
目次はこんなかんじです。
- アフリカは想像以上に大きくて、若い
- アフリカはどんどん豊かになっている
- アフリカはかつて日本が経験した急成長期にある
- アフリカは先端技術が日本より浸透している
- アフリカは医療テック市場が世界で最も熱い
- アフリカは巨大市場になりつつある
- アフリカは日本企業がもったいない状況にある
- アフリカは国内格差がまだまだ大きい
- アフリカは驚くような巨大開発を行っている
- アフリカは4つの進出パターンで勝負する
いくつか興味深いポイントを紹介していこうと思います。
大きい、若い、快適
大きい
世界地図を見ると、アフリカがまあまあ大きいのがわかります。
しかし、メルカトル図法の世界地図では、赤道付近は過小評価されているのです。
アフリカはまあまあ大きいのではなく、実はめっちゃ大きいのです。
米国、中国、インド、欧州、メキシコあたりを含めても、それ以上に大きいのです。
日本の80倍らしいです。比較図が載っていましたが、もはや私にはピンときません。
大きいと何がすごいのか。
人口が増える余地があります。
人口の増加は経済に直結します。
そしてここ最近は医療の発達により、アフリカの人口が増加傾向にあるようです。
いま、中国の企業は世界的な上位に食い込んでいます。
次は人口のピーク状況から、インドがくるだろうという予想が言われています。
そしてその次はアフリカの人口がピークを迎え、これは長く続く見込みのようです。
若い
ナイジェリアの中位年齢は19.7歳のようです。
中位年齢というのは、平均年齢とちょっと違い、若い順に人を並べて真ん中にいる人の年齢です。
日本の中位年齢はいくつでしょう。
48.4歳です。
経済を支えるのは、労働人口です。
日本はこれから高齢者の比率が徐々に大きくなっていきます。
さらに人口減少の局面を迎えています。
日本に投資してはいけないという理由でよく言われるものですね。
アフリカは若くて多いんです。可能性に満ち溢れています。
快適
アフリカは暑いイメージがあります。
ケニアの首都ナイロビなんて、南緯1度と赤道にめっちゃ近いです。暑そうです。
と思いきや、標高が高いためかめっちゃ快適なようです。
wikipedia にも書いていましたが、10~25度の気温で確かに過ごしやすそうです。
書籍によるとルワンダも赤道直下にも関わらず快適らしいです。
さすがにジャングルや砂漠など地域によっては暑い場所もあるようですが、快適な気候の場所も多いようです。
スマートフォンの普及
普及率
「ケニアの携帯電話普及率は?」という問題がありました。
答えは113%のようです。
1人1台以上持っている計算になります。
一方で、アフリカでは電気の供給は十分ではありません。
ケニアの電気施設率は書かれていなかったのですが、アフリカ全体ではおよそ半分の人は電気のない家に住んでいるようです。
にもかかわらず、スマートフォンや携帯電話は成人のほぼ全員が持っているほど普及しているようです。
「スマホを使うマサイ族」という写真が掲載されていました。
日本の普及率は、調べてみると150~200%のあたりといったところでしょうか。
まあ100を超えたところの比較にあまり意味はないように思いますが笑
ちなみにわたしの家族は携帯電話を持っていません。
田舎の農民は時代に取り残されるのです。
なぜ普及したのか
電気もないのになぜ携帯電話が普及したのか。
これはアフリカの人にとって、決済インフラの役割を果たしているためです。
M-PESA という決済サービスが普及しているようです。
これは PayPay のように、プリペイドでチャージした金額で決済できるというものになります。
しかし、これだけではなく、送金や現金引き出し、さらには預金やローンまでできるようです。
もはや銀行いらず。
そして、データはサーバ上にあるので、現金よりも実は安全。
銀行の普及率の低いアフリカでこそ広がったサービスなのでしょう。
もしかしたら日本でも銀行のいらない未来がきてしまうのかもしれません。
ドローンの実用化
ドローンと言えば、ゲームやマンガでたまに見かける近未来的な技術ですね。
最近では楽天が輸送のためのトライアルをしているというニュースもどこかで見かけた気がします。
アフリカの医療現場では既にドローンが実用化されています。
小型飛行機のような形状で、最高時速80kmで血液バッグを輸送します。
ビューンと飛んで行って、パラシュートで血液を降下してビューンと帰ってくるようです。
これも道路のインフラの不足や、血液保存の仕組み不足など、既存の仕組みが不十分だったからこそ発展した技術ですね。
その他にも、超音波診断機をクラウドに接続し、遠隔診察やAI診察を行っているところもあるようです。
もはや最先端すぎて何を言っているのかわかりません。
まとめ
超加速経済アフリカという書籍を紹介しました。
といってもいくつかトピックをピックアップしたくらいで、この本にはまだまだいろんなことが書いてあります。
アフリカでは肥満が増えてきている、女性が髪型にお金をいっぱい使う、中国がアフリカにめっちゃ投資してる、ナイジェリアの企業が西アフリカにドバイを作ろうとしている、などまだまだ多様な話題があります。
そして最後には、アフリカにはビジネスとしてこういうアプローチをすべきという内容で締めくくっています。
仕事でも私生活でも、計画を立てるためには事実というのは極めて大事な要素です。
新しい事業を始めたものの、マーケティングの予想がザルすぎて失敗した、というのはよく聞く話ですね。
この書籍では、アフリカがいまどうなっているか、事実を中心に構成されています。
ビジネスアプローチの考え方なんかもまとめられていますが、世界の実情を知ることができるだけでも、おもしろい本だと思います。
ちなみに kindle で買ったのですが、携帯だと死ぬほど読みづらかったです。
PC なら読みやすいです。
ただ、冒頭の図を90度回転するのはやめてくれ、、、