いくら貯めたら会社を辞められるか

ここのところ、アメリカを中心に FIRE という言葉が流行っています。
FIRE とは Financial Independence, Retire Early の略で、日本語にすると「経済的自立、早期退職」です。
つまり、働かなくても生きていけるようになった状態のことを指します。

去年の3月に出版された書籍「FIRE 最強の早期リタイア術」がブームの基になっています。
著者のクリスティーさんは、30代での早期リタイアを実践しており、どういう考え方でどういう行動で FIRE を実現することができたかということが書かれている本です。

多くのサラリーマンにとって、夢のような話です。
しかしこれは夢ではなく、投資と倹約によって実現性のあるフレームワークとなっています。

どうやったら経済的自立ができるか、というところはとても大事だと思いますが、結局いくらあれば経済的自立ができるのか気になるところだと思います。
今回はこの考え方を解説します。

目次

いくら貯めたら経済的自立ができるか

結論

あなたの年間支出額があります。
これを25倍した金額が、あなたが貯めるべき金額です。

例えば、年間の支出が400万円だとすると、これを25倍した1億円という金額があれば、経済的自立ができる(=会社を辞められる)ことになります。

年間支出別にいくつか表にするとこうなります。

年間支出貯めるべき金額
200万円5000万円
300万円7500万円
400万円1億円
600万円1億5000万円
800万円2億円

なぜか

詳しくは、「FIRE 最強の早期リタイア術」 の10章に、4パーセントルールというキーワードで述べられています。

と放り投げるのはイマイチなので、簡単に解説します。

トリニティスタディと呼ばれる、1998年の論文があります。
おおよそ次のようなシミュレーションをした論文です。

  • シミュレーション対象者は、100万ドルの資産を所持しており、株式及び債券でポートフォリオを構成している。
  • 毎年の初めに生活のため定額を取り崩す。
  • 30年間の資産運用をシミュレートし、シミュレーション後に資産が残存している割合を求める。

結果としては、株式75%/債券25%のポートフォリオで、毎年4万ドル取り崩す生活をすると、98%の割合で30年後も資産が持続している。
そして30年後の資産の平均は900万ドル(増えてる!)、という論文です。

毎年4万ドルを消費したところで、株式と債券がそれ以上に成長していることから、取り崩しをしても資産がどんどん増えていくという素敵なシミュレーションです。
ただし当然ですが、取り崩し額を5%, 6%, 7% と増やしていくと、資産が枯渇する割合が増えていきます。

つまり、取り崩し額(4万ドル)の25倍の資産(100万ドル)があれば、会社辞めてもだいたいは生きていける、ということです。
これが4%ルールです。

注意点

4%ルールについては、いくつか注意点があります。

資産の運用方法

トリニティスタディでは、株式での運用は米国株のインデックスファンドを用いているようです。
成長する見込みがあり、かつ低コストの運用先を選ぶ必要があります。

例えば、以下は米国の主要な株式指数である、S&P500 の1981年以来の推移です。
きれいな右肩上がりです。

一方、以下は日本の日経平均株価の推移です。
結果論ですが、バブル期から経済はほぼ成長しておらず、4%ルールではうまいこと生活していけないでしょう。

現代ポートフォリオ理論の考え方からも、時価総額の比率で投資をするのが適切です。
いまは世界の株式の半分以上は米国ですので、米国株を中心に考えるのがいいでしょう。

税金の支払い

トリニティスタディでは、税金の支払いが考慮されていません。
実際には日本では、利益確定時に、利益に対しておよそ20%の所得税が持っていかれてしまいます。
投資信託ではなく ETF だとすると、米国所得税がさらに10%持っていかれてしまいます。(これは確定申告である程度控除できるみたいですが)

インフレ率

トリニティスタディでは、インフレ率が考慮されていません。
一般的に世界の物価は、経済の成長とともに少しずつ上昇します。
つまり、取り崩し額もこれに応じて、上昇せざるを得ません。

しかしながら、日本はインフレを許さない気質なので、あまり物価が上がりません。
なので日本に住む限りはこれはあまり気にせずとも問題ないかもしれません。(インフレしないことは決して良いわけではないですが)

未来のことはわからない

トリニティスタディは、過去の実績に基づいたシミュレーションです。
しかも結構古いです。
※とはいえ、もう少し新しい情報でシミュレーションしてみたけど大丈夫!という結果もあるみたいです。

世界の株価がこれまで通り上昇するかどうかは、絶対ではありません。

じゃあどうしたらいいのか

リタイアの目安としては、年間支出の25倍と考えてよいと思います。

過去実績より、S&P500 の年平均成長率はおよそ7%です。
これに対して、所得税を控除(×0.8)、インフレ率1%(仮)を控除したとしても、4.6%残ります。
さらにインデックスファンドや ETF であれば、S&P500 の各種企業の株式配当も評価額に反映されます。
つまり、4%ルールの取り崩し額より、大きな資産成長が見込めます。

問題は暴落時です。
毎年定額で取り崩すという前提でしたので、暴落時でも例年通りの定額を取り崩すことになっているのです。

これを対策すればいいのです。

現金クッション

「FIRE 最強の早期リタイア術」 の著者は、現金クッションという工夫を導入しています。
仕組みは簡単で、5年分の生活費を常に預金として保持しておくという手法です。
これによって、暴落時には現金を消費することで、非効率な取り崩しを防ぐことができます。

また、書籍の解説では、利回りシールドという仕組みによって、預金の金額を5年分の生活費よりももっと少なくする工夫が述べられていました。(ちょっとこれはよく理解できませんでした・・・)

サイドFIRE

最近はサイド FIRE という言葉も流行っています。
完全なリタイアではなく、自分の好きな仕事をしつつ、4%ルールよりも少ない元本で半リタイアするという考え方です。

サイド FIRE の良いところは、株式や債券の投資以外で収入が得られることです。
完全 FIRE では、暴落時には祈ることしかできないですが、サイド FIRE では臨機応変にコントロールできる余地が生まれます。

基本的には FIRE を目指しつつ、ブログ/Youtube/コンテンツ販売などの副業を育てていく、というのは、リタイア後の継続性という観点で悪くないかと思います。

まとめ

いくら貯めたら会社を辞めることができるか、について解説しました。
また、経済的自立の継続性を高める工夫について紹介しました。

わたしは1億円を目指しています。
50歳前にはサラリーマンやめるぞ!

おしまい!

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